観測概要
昭和基地に設置したL/S/Xバンド衛星受信システムを用いて極軌道を周回する地球観測衛星のリアルタイム観測データを継続的に受信し、南極域における広域の地表面・雲、対流圏・成層圏・超高層大気の状態をモニタリングしています。
衛星リモートセンシングは、地球上で最もアクセスが困難な南極域において離散的な地上観測を補う最も有効な広域観測手段です。昭和基地で受信する極軌道衛星は、同じ地域を長期間にわたり繰り返し観測し、経時変化を捉えることができます。南極域の海氷・雪氷・雲分布をはじめ、対流圏・成層圏大気(気温、風の3次元分布)、磁気圏から超高層大気へのオーロラエネルギー流入などを継続的に観測し、広域モニタリングデータとして関連分野の研究課題の解明に活用しています。さらに、昭和基地周辺でのJAREの活動にも有効に活用されています。
観測地域
昭和基地で受信する衛星データは、昭和基地上空幅約2,700km×5,000kmの領域です。
衛星軌道に応じてこの受信可能なエリアは方位を変えますが、昭和基地を含むリュツォホルム湾周辺はすべてのパスに含まれます。
観測内容
受信衛星、観測データ(センサー)、観測する物理量および対象は以下の通りです。
NOAA, MetOp, NPP衛星/AVHRR地表面の温度分布,海氷分布、雲分布
NOAA, MetOp, NPP衛星/TOVS対流圏・成層圏の気温・風・水蒸気の3次元分布
TERRA, AQUA,NPP衛星/MODIS海氷分布、雲分布、積雪粒径分布、不純物濃度分布
DMSP衛星/OLS, NPP衛星/VIIRSオーロラ粒子エネルギー流入(オーロラ可視画像)
受信システム
TeraScan受信システム(米国SeaSpace社製) を用いて、NOAA, METOP, DMSP, TERRA, AQUA, NPPの6種類の地球観測衛星データを通年に亘り、1日あたり約50-60パス(年間約20,000パス)を自動受信し、数値予報初期値データをはじめ1次処理画像を国内外に即時伝送しています。